XTZ125 「ねこちやづけ」 チェーンについて考える@

「ねこのす」「バイクの巣」XTZ125「ねこちやづけ」の部屋>(現在の位置) チェーンについて考える@
記事内容2007年09月   最終更新2010年08月04日

「ノンシールチェーンを潤滑せよ。」

 XTZ125には標準で "ノンシール" タイプのドライブチェーンが装備されている。
 世の中には「ノンシールチェーン」以外にも「シールチェーン」というモノも存在するが、残念ながら標準状態のXTZ125には装備されていない。
 シールチェーンについては、Oリングがチェーンのピンとブッシュの間のグリスを保持するために潤滑性が良く、抵抗が少ないとか、Oリングとプレートの接点が増えることによる抵抗が増えるとか言われている。 参考→チェーンの構造と給脂

 個人的にはシールチェーンの方がノンシールチェーンに比べて 「チェーン潤滑の効果が長期間持続し」、 「チェーンの伸びがより少なく感じる」 ため好きなのだが、いかんせん価格が高いという欠点がある。 これが予算と出力に余裕がある大排気量車用であればあまり問題にならないのだが、「ねこまんま」級の「ねこちやづけ」のチェーンについては、やはり徹底して馬力損失とコストを気にしなければならないのだ。

 これまでは、小〜中排気量車のチェーンを交換する場合、原則的にはシールチェーンを使用するものの、前後スプロケットがそれほど消耗しておらず、交換するには早いと感じる場合にはノンシールチェーンを使用し、新しいスプロケット等に交換する際に合わせてシールチェーンに交換するのが定例となっていた。


チェーンへの給油について
 これまでノンシールチェーンを使用してきた場合には、どうしてもチェーンの伸びの早さが気になった。 ノンシールチェーンが伸びるのは当然だと考え、諦めてもいた。
 かつてシールチェーンが普及する以前には、 「大排気量二輪車のチェーンは増大するエンジン出力に対応できず、チェーンは絶滅し全てシャフトドライブになってしまう。」 と言われた時期があったそうだが、この伸びがノンシールチェーンの限界だと勝手に納得していた。


ノンシールタイプのドライブチェーンに注油するモノ
 ねこのすでは、つい最近までシールタイプのチェーンと同じスプレー式チェーンオイル(ルブ)を注油していた。(テフロン等の入った白いタイプとネバネバのタイプの2種類を併用)
 シールチェーンであれば一回給油すればしばらくは潤滑状態を保てるが、ノンシールタイプではあっというまに潤滑の効果が薄れ、チェーンがゴリゴリ言い出す。 これらの経験から、ノンシールチェーンは価格は安いものの耐久性は良くないという認識を持つようになった。
 だが、CRM250AR「ねこまつしぐら」に一時しのぎでノンシールチェーンを装備した際に「エンジンオイル」をチェーンに注油してみたところ、注油直後はチェーンの抵抗が非常に少なく感じられてノンシールチェーンについて多少見直した。
 しかしこの時は潤滑効果の持続性があまり無く、さらに比較的高荷重のためか早期にチェーンとスプロケットが消耗してしまい、その後はシールチェーンと新スプロケットに更新してしまったので、エンジンオイルによるチェーン潤滑は早期に忘れ去られ、スプレー式のチェーンルブ潤滑に戻ってしまった。

 その後時は流れ、ノンシールチェーン装着車XTZ125「ねこちやづけ」に乗るようになったが、当初は標準のノンシールチェーンで運用し、チェーンが伸びたらスプロケットと併せてシールチェーンに変更しようと計画していた。
 これまで同様、スプレー式のチェーンオイルを数百キロ走行ごとに注油し、チェーンの消耗・伸びも予定通り(?)進んでいた。
 が、XTZ125のチェーン整備にある転機が訪れる。 かつてトランポとして運用していたハイエース&ホーミーの遺産、ディーゼル車用エンジンオイル(ペール缶)の残りが発掘されたのだ。 このオイルの処分法を考えた時、チェーンオイルとして注油してみようと思いついた。 昔のバイクの整備書を見た際、チェーン潤滑用オイルとして 「デフオイル等の固めのオイルを使う」 ということが指示してあった。 発掘されたディーゼルエンジン用オイルは、デフオイルほど固くはないが、通常のバイク用エンジンオイルよりも少し固めに感じられたため、以前にCRM250AR「ねこまつしぐら」で試用したエンジンオイルよりも多少はチェーン潤滑効果の持続性も良くなるのではないか?

使用した結果
 で、ディーゼルオイルをチェーン潤滑に使用した結果、XTZ125のドライブチェーンの伸びは劇的に少なくなった。 ディーゼルオイルのチェーン各コマ内部への浸透性は良いようで、ノンシールタイプのチェーンには、これまでのスプレー式よりも向いていると感じた。

その後、
 XTZ125のドライブチェーンにディーゼルエンジンオイルを注油している。
当初はレーシングスタンドで後輪を浮かせてチェーンに注油。


そのうちツーリング中のパンク修理等で使うつもりだった補助スタンドで後輪を浮かせて注油。


こんな感じで1週間(走行約300km)あたり1〜2回のペースで注油していた。


リアホイールは若干オイルの飛沫で黒く汚れる。が、2ストオイルが飛び散ったようなオイルべたべたではなく、拭取ればすぐに取れるような汚れであることは報告しておく。 チェーンには関係ないが、これによってリアホイールのリムとスポークは錆が防げるのではないか?


使用前・使用後の比較 (ディーゼルエンジンオイルのチェーンへの給油前後)
 残念ながら「ねこのす」にはドライブチェーンの注油油種の違いによる抵抗の違いを正確に測定する能力は無い。 が、これまでの整備記録から参考になりそうな資料を探してきた。
 ディーゼルエンジンオイル使用前、後で比べると、チェーンの張りを調整する「アジャスター」を引く頻度が大きく減少した。(詳細は別項)

 ここで注油油種以外の要素について、たまたまディーゼルエンジンオイル使用前はチェーンが初期伸び段階で、それ以降は定常伸び段階に移行していたとか、アジャスター一目盛分の調整は、アジャスター初期と後期では調整量が違うといった要素も考えられるのだが、その要素を考慮しても効果が大きく感じられた。 ここではディーゼルエンジンオイルをノンシールチェーンに注油することは、多少なりとも効果があったと考える。


結論
 理由はともかく、ディーゼルエンジン用オイルがまだ多量に在庫していることもあって暫くドライブチェーンへの注油を継続することとした。 今後、新しいチェーンに交換後、伸びの状況を調べることで、ディーゼルエンジン用オイル注油の効果について更に詳しく調べたいと思う。 (2008年6月現在、調査継続中。 途中経過については別項参照)





今後の予定
 XTZ125での運用でノンシールチェーンの評価が上がってくると更に欲も出てくる。 やはりチェーンが良好に潤滑され、軽く動くというのは気持ちがいいものだ。
今後の課題としては、
@注油にかかる手間を減らしたい。 (出勤前にチェーンオイルを注油するのは時間と心に余裕がないのだ。)
A整備場所限定でなく、どこでも注油できるようにしたい。 (出先でもチェーンの潤滑不足を感じたら即注油したい。)
Bできれば手も汚れず簡単に。 (グローブや手が油まみれになるのは出勤時には辛いのだ。)
という我侭な要求を解決したい。

そこで簡易式の注油装置を作ることとした。
 → チェーンオイル注油器を作ってみる。





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