XTZ125 「ねこちやづけ」 整備記録J
ブレーキフルードを交換してみた。

「ねこのす」「バイクの巣」XTZ125「ねこちやづけ」の部屋>(現在の位置) 整備記録J ブレーキフルードを交換してみた
2008年 7月     最終更新2010年08月16日

ブレーキフルードを交換してみた

 このところ非常に暑い毎日が続いているが、我がXTZ125「ねこちやづけ」は文句も言わずに日々の運用をこなしている。 何も問題が発生しないと、その存在そのものを忘れてしまいがちではあるが、毎日の過酷な通勤運用を当たり前のようにこなし、何も問題を発生させないということは、その事自体、非常に有り難いことだ。

 ところで「ねこちやづけ」の運用が開始されてから2年と少々が経過した。 そしていよいよ「ねこのす」恒例行事のブレーキフルード交換の季節が「ねこちやづけ」にもやってきた。
 恒例行事とは言っても、適当な時期に「ブレーキフルード」か「冷却水」を各車まとめて交換するだけなので、特に楽しい行事ではない。
 ちなみに昨年は「冷却水交換」の年だったので、空冷エンジン装備の「ねこちやづけ」には関係なかったのだが、今年は「ブレーキフルード交換」の年なので、「ねこちやづけ」も交換作業を実施されることになった。

 ブレーキフルード交換作業の実施時期については、一般的なブレーキフルードは湿気を嫌うようなので、梅雨明けの時期に行うようにしている。 もっとも、梅雨が明けたとは言え「ねこのす」の所在地は非常に蒸し暑い地域なので、あまり交換されるフルードにとっては良い環境ではないかもしれない。 それでも梅雨の時期に吸湿して劣化したフルードを早めに交換することができるという意味で、この時期に実施するようにしている。


 という訳で、つい先日「ねこのす」所在地域にも梅雨が明けたとの発表があり、「ねこちやづけ」初のブレーキフルード交換作業を開始した。



注意事項
 本内容はねこのすで行った作業を記録したもので、正しい方法・手順を保証するものではないので注意。
 整備の基本的な内容について不明な場合は、「ヤマハの点検整備について」、お気に入りのホンダのメンテナンス講座等で一度確認をおすすめする。
 くどいようだが、今回の内容を参考に作業をする場合には自己責任で行うように。

 特にブレーキ周りの整備は非常に重要な箇所なので、自信の無い場合はプロに依頼したり、信頼のおける人の指導・確認を受けるなどされたい。
 自分はもちろん、他の人の「命にも関わる」ことなので、その点自覚しておく必要がある。


 ブレーキフルードは吸湿性が高いので、雨の日など湿度が高い場合には避けた方が良いと思う。 作業中も水分が入らないように注意。

 ブレーキフルードは塗装面や樹脂部品を浸潤させたりするので、もし付着した場合には早急に除去すること。
 整備完了後など、ブレーキフルードに水が混入するおそれが無くなった場合には、周囲も含めて水をかけて洗い流してしまっても良い。

 この時期非常に暑いので、屋外で作業する場合には水分補給を心がけるなど体調管理にも留意されたし。


ブレーキフルード交換作業

 ひとまず、ブレーキフルードの状況確認。
 「ねこちやづけ」は運用開始してから2年と4ヶ月程が経過している。 累計走行距離は約3万5千キロメートル。 もっとも、「ねこちやづけ」は地球の裏側から船に揺られてやって来ていると思われるので、それ以上の長期間、このブレーキフルードはブレーキシステムの中にあったはずである。
 ねこのすの恒例行事としてのブレーキフルード交換は、本来なら2年に1回なのだが、2年前の前回は新車導入直後であったため省略している。 よって今回が初のブレーキフルード交換。
 地球の裏側から暑く湿った船倉で長期間揺られていた可能性もあるので、以外と劣化が進んでいるかもしれないなどど考えながら作業開始。


 交換前の状態。


 フルードのリザーバータンク上面が水平になるように(=フルードがこぼれないように)ハンドルを切っておいて、タンクのキャップを外す。


 キャップを外してみた。 ダイヤフラム(黒い蛇腹状のゴム)も外す。


 フルードを視認。 撮影前に若干抜いてしまったので、本来の液面はもっと上である。


 リザーバータンク内部を覗いてみた。 フルードの色は濃くなっているが、思ったよりもきれいな内部。
 酷い場合には、リザーバータンク内部に「蛙の卵」のような物質ができていることもある。

 ちなみにマスターシリンダーとしては見慣れた型式。 エア抜き時等でもフルードが吹き出さないので作業が楽。 手間を減らす都合上、何台かをまとめて作業する事が多いのだが、他車ではレバーを握る度にフルードが噴水のように吹き上がるのもあって作業が面倒な車種もある。 この点管理人が知っている範囲では日本製は気が利いていると思う。


 残りのフルードも洗浄ビンを使って抜き取ってしまう。


 ひとまず新しいブレーキフルードを入れてみる。


 キャリパーのブリーダーバルブにホースを接続してからレンチを使ってブリーダーを緩めてみる。
 マスターシリンダーのリザーバータンク内のブレーキフルードが空にならないように注意しながら、
@ ブレーキレバーを握る。(握ったまま保持。)
A ブリーダーバルブを緩める。 ⇒フルードがホース内に流れ出る。
B ブリーダーバルブを締める。
C ブレーキレバーを離す。
 の@からCを繰り返せば、どんどんブレーキフルードが流出する。
 古いブレーキフルードが出尽くして、新しいブレーキフルードが出てくるようになり、作業者が満足したらブリーザーバルブをしっかり締める。


 再度ブレーキフルードを規定の範囲内になるよう液面を調整・確認して、清掃したダイヤフラムと蓋を取付ける。
 再度ブリーダーバルブや、その他の作業したネジ・ボルト類の緩みを確認のうえ、ブレーキが異常なく効くか確認する。
 もし、ブレーキレバーがスカスカになって手応えがなくなってしまったのなら、エアを噛んでいる(=ブレーキライン内に空気が入ってしまった)か、ブリーダーバルブやバンジョーボルト等の緩みが考えられるので、確認。
 もしエアが噛んでいるのなら、上記@からCを繰り返してエアを抜く。

 管理人の経験から言うと、XTZ125のブレーキシステムのような比較的単純な配管ならば、ハンドルを切る角度をいろいろ変えながら、軽くレバーを握る(ブレーキが効き始める前の遊び範囲内くらいのストローク)、放すの操作していればどんどんエアが抜けてくるので、それほど難しいことは無いと思う。

 エア抜きが完了して、ブレーキがしっかり効くようになったら、ネジ・ボルト類を再度確認して、ブレーキフルードが付着した箇所が無いか確認。 もしあればクリーナーで除くとか、水をかけるなどして除去。

 ちなみに、ブリーダーバルブなど、ブレーキフルードが付着していると、後に錆が出たりするので、ブレーキクリーナーで除去した上でシリコンスプレー等で保護してからゴムカバーを装着している。

効果確認

 一通りの確認が済んだら、いよいよ試走となる訳だが、ブレーキを整備した直後ということで、慎重には慎重を期して実施されたい。
 当然ではあるが、最低でも
・ 押し歩き中等、実走行前にブレーキを操作してブレーキの効きを確認。
・ 試走はできるだけ、安全な場所を選ぶ。
・ 万一整備したブレーキ(今回の場合は前ブレーキ)に異常が発生しても、他のブレーキ(今回の場合は後ブレーキやエンジンブレーキ等)で対応できるよう、心構えと準備と余裕を持って。

 これらはあくまで管理人の場合の心がけだが、作業を実施される場合は、上記心がけの他にも各員で必要な事項を検討のうえ試走にあたっていただきたい。


最後に

 重要な部位の整備ということで、いろいろ脅し文句も書いたが、実際の作業としては難易度はそれほど高くはない。

 だいたいXTZ125はブレーキフルード交換箇所が1系統だけなので、非常に作業量自体も少ない。 初めてのブレーキ整備にはもって来いの素材である。
 (これが「ねこにこばん」だったりすると前キャリパー2ケ、後キャリパー1ケ。 前後連動の関係でそれぞれ2系統のブレーキフルードのラインがあり、途中でいろいろ調整器も付く。 しかもクラッチ系統も油圧なので、作業量自体、XTZ125の何倍も必要になる。)


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